不眠症について
睡眠は、脳の活動を抑えて疲れをとり、それ以前の記憶を整理し、機能を回復させるために重要で、睡眠が乱れると、ホルモン分泌、自律神経の働きに影響を与え、代謝が悪くなり、肥満、高血圧、糖尿、うつなど様々な病気を引き起こすリスクを高めます。
近年では、睡眠の乱れとアルツハイマー病との関連も報告されています。
○不眠のタイプ
大別すると、以下の4タイプがあり、それぞれ対処方法や治療方法は違いますが、すべてに共通して必要なことは、睡眠を妨げている生活習慣の改善です
・入眠障害 ・・・寝つきが悪い
・中途覚醒 ・・・途中で何度も起きる
・早朝覚醒 ・・・朝早く起きてしまう
・熟眠障害 ・・・ぐっすり眠れた感じがしない
入眠障害
いわゆる「寝つきが悪い」症状。医療機関を不眠で受診する患者様のなかで、最も多くみられます。
個人差がありますが、就床から入眠までがおおよそ1時間を超え、本人が苦痛を感じる場合、入眠障害とみなされます。
中途覚醒
寝ている間に何度も目が覚め、眠りが浅い状態です。途中で目が覚めてから、また寝付けず、苦痛を感じる場合、中途覚醒とみなされます。
早朝覚醒
入眠と覚醒の時間には個人差がありますが、本人の意思と関係なく早い時間に起きてしまい、結果、日中の活動に影響を及ぼす場合、早朝覚醒とみなされます。
熟眠障害
十分な睡眠時間をとっているにもかかわらず、起床時に寝た感じがせずに疲れた状態です。
○様々な原因があります
不眠症の主な原因は
・心の問題(ストレス、悩み、不安、緊張、心の病気)
・身体の問題(痛み、かゆみ、呼吸苦、脳の病気、いびき)
・生活時間の乱れ(夜型生活、日中の活動不足、不規則な食事時間)
・就寝前の刺激(アルコール、カフェイン、ニコチンなど)
・睡眠へのこだわり(長く寝たほうがよい、8時間寝ないといけない、と言った思い込みなど)
○治療のタイミング
誰でも、日常生活のタイミングがずれたり、強い精神的ストレスに曝されたり、病気になることがあります。取り除ける原因を取り除いたり、一定の時間に起床し、朝起きてから太陽の光を浴びる、といった生活習慣を身につけることで体内時計が調整されて不眠の症状が治ることがあります。
しかし、次のような場合は、医療機関に相談してください
・不眠の状態によって、日常生活に支障がある
・ひと月程度改善がみられない
・治療が必要な病気がある
○病院での治療
まずは、かかりつけ医に相談してください。必要に応じて、精神科を紹介してもらいましょう
病院では、まず問診が行われますが、必要に応じて睡眠状態の検査を行うことがあります。身体の病気の治療が必要な場合は不眠症の治療と並行して行います。
薬が処方されることもありますが、薬の飲み方については、医師の指示通りにしましょう。
○鍼灸治療
鍼灸治療では、気持ちの高ぶりを抑え、気分緩ませ、リラクゼーションをもたらす経穴(ツボ)を刺激する施術が中心となっています。
また、不眠の状態が続いていると、身体の様々な部位に「こり」が生じていることが多くみられるので、これらを改善する施術が行われます。
問診では、睡眠以外にも、生活全般について確認を行い、様々な角度から不眠についての検証を行います。
○大事なこと
不眠症の改善には、生活習慣の見直しが基本、不眠の要因を見つけて取り除くことが症状の改善につながります。
・食事 就寝時間に近い夜食などは睡眠を妨げます空腹で眠れないときに、味の濃いものや胃にもたれるものを食べるのも避けるべきです。
・飲酒 眠くなるのですが、睡眠の改善にはなりません。むしろ、睡眠の質を下げることとなります。
・カフェイン 夕刻(およそ、就床の6時間程度前)以降は避けるべきです。チョコレートや栄養ドリンクにも含まれているので注意が必要です。
・タバコ ニコチンが精神を刺激する作用があるため、眠りを妨げます。
・運動 日中に身体を動かす習慣を身に付けましょう
・入浴 就床間際に熱いお湯に入ると寝つきが悪くなるので、注意が必要です。